シニア犬のダイエットは、健康を維持するうえでとても重要なポイントです。年齢を重ねた犬は代謝が低下し、体重が増えやすくなります。特に無理な減量は避け、日々の食事に手軽に取り入れられる「かさ増し」を活用することで、無理なく健康的な体重管理ができます。今回の記事ではシニア犬の適正体重や摂取カロリー、効果的なダイエット方法について詳しく解説します。
シニア犬のダイエットはかさ増しが効果的?シニア犬は肥満になりやすい
シニア犬は若い頃に比べて活動量が減少し代謝も低下するため、肥満になりやすい傾向があります。筋肉量の減少やホルモンバランスの変化によって、エネルギーの消費が少なくなり、同じ食事量でも体重が増えやすくなります。
肥満になると関節や内臓に負担がかかり、心疾患や糖尿病、関節炎などの病気のリスクが高まります。そのためシニア犬の健康を維持するためには、適正な体重を保つことが重要です。
シニア犬の適正体重

シニア犬の適正体重は犬種や個体によって異なりますが、一般的には体格と筋肉量を考慮して判断します。獣医師に相談することで、愛犬にとっての理想的な体重を確認することができます。
以下に、犬種ごとの適正体重の目安を紹介します。
小型犬
- チワワ:1.5〜3kg
- ミニチュアダックスフンド:4〜5kg
- トイプードル:2.5〜4kg
- ポメラニアン:2〜4kg
中型犬
- 柴犬:8〜12kg
- ビーグル:9〜14kg
- コッカースパニエル:12〜16kg
- ミニチュア・シュナウザー:4〜8kg
大型犬
- ラブラドールレトリバー:25〜36kg
- ゴールデンレトリバー:27〜34kg
- ジャーマンシェパード:30〜40kg
- ボーダー・コリー:14〜20kg
超大型犬
- セントバーナード:54〜82kg
- グレートデーン:45〜59kg
- ニューファンドランド:50〜68kg
これらの目安は、あくまでも平均的な範囲です。愛犬が適正体重かどうかを確認するためには、以下のポイントも参考にしましょう。
- 肋骨が触れるか:適正体重の犬は、軽く触れるだけで肋骨を感じることができます。
- 腰のくびれ:上から見たときに、腰が少しくびれているのが理想的です。
- お腹のライン:横から見たときに、お腹が少し引き締まっている状態が適正です。
シニア犬の年齢別・体重別の1日の摂取カロリー
シニア犬の1日の必要カロリーは、安静時必要エネルギー量(RER:Resting Energy Requirement)に活動係数を掛けて求めます。
RER(安静時必要エネルギー量)の計算式
RER = 70 × (体重[kg])^0.75
活動係数の目安
- シニア犬(7歳以上):1.4
- 成犬(避妊・去勢済み):1.6
- 成犬(未避妊・未去勢):1.8
- 肥満傾向の犬:1.2~1.4
- 減量中の犬:1.0
例:体重別の1日の摂取カロリー目安(シニア犬)
体重 | RER(安静時必要エネルギー量) | DER(1日の必要カロリー) |
---|---|---|
5kg | 約200 kcal | 約280 kcal |
10kg | 約330 kcal | 約460 kcal |
15kg | 約440 kcal | 約620 kcal |
20kg | 約520 kcal | 約730 kcal |
30kg | 約700 kcal | 約980 kcal |
これらはあくまで目安です。犬の体調や活動量によって必要カロリーは異なるため、具体的な食事内容については獣医師に相談することをおすすめします。
シニア犬のダイエットはかさ増しが効果的?シニア犬のダイエット方法

シニア犬のダイエットは、無理のない方法で行うことが大切です。急激な減量は体に負担をかけるため、ゆっくりと体重を落とすことを目指しましょう。以下のポイントを意識して、シニア犬のダイエットを進めてください。
おやつ
おやつはシニア犬の肥満の原因の一つになりがちです。ダイエット中でもおやつを与える場合は、以下の点に注意しましょう。
- 低カロリーのおやつを選ぶ:カロリーが低く、健康的な素材のおやつを選びましょう。
- 与える量を管理する:おやつを与える量は、1日の食事量に含めて計算します。
- 野菜を活用する:きゅうりやにんじんなど、低カロリーで食物繊維が豊富な野菜をおやつとして与えるのも効果的です。
ごはん・ごはんかさ増し
シニア犬の食事は量を減らしすぎると栄養不足になるため、かさ増しを活用して満腹感を得られるように工夫しましょう。
- 低カロリー食材を追加する:キャベツやブロッコリー、さつまいもなど、低カロリーで栄養価の高い食材を加えて、食事のかさ増しを行います。
- 水分を増やす:水分量を増やすことで、満腹感を感じやすくなります。犬用スープや水でふやかしたフードを与えると良いでしょう。
野菜

野菜はシニア犬のダイエットにおいて、非常に効果的な食材です。食物繊維が豊富で低カロリーなため、満腹感を得やすくなります。
- 与えて良い野菜:キャベツ、ブロッコリー、きゅうり、にんじん、さつまいもなど。
- 注意が必要な野菜:玉ねぎ、にんにく、アボカドなど、犬にとって有害な野菜は避けましょう。
- 調理法:加熱して柔らかくすることで、消化しやすくなります。塩や調味料は一切使用しないように注意しましょう。
散歩
適度な運動も、シニア犬のダイエットには欠かせません。散歩は心肺機能を高め、筋肉を維持する効果があります。
- 短い時間で頻度を増やす:長時間の運動は負担になるため、短い時間の散歩を1日数回行うようにしましょう。
- 無理をさせない:犬の体調や年齢に合わせて、無理のないペースで行います。
- 遊びを取り入れる:散歩中におもちゃを使って遊ぶことで、楽しく運動量を増やすことができます。
ダイエットフードやダイエットおやつは効果ある?

シニア犬のダイエットにおいて、専用のダイエットフードやダイエットおやつを活用するのは効果的です。ただし、選び方や与え方に注意が必要です。
ダイエットフード
- 低カロリー設計:ダイエットフードは一般のフードよりもカロリーが抑えられており、体重管理をしやすくします。
- 栄養バランスが考慮されている:必要な栄養素をしっかり摂取できるように設計されているため、栄養不足のリスクが低くなります。
- 満腹感を得られる成分:食物繊維や高たんぱく質の成分が含まれていることで、少量でも満腹感を得やすくなります。
ダイエットおやつ
- 低カロリーのおやつ:カロリーが低く脂質が少ないものを選ぶことで、肥満防止につながります。
- 与える量を調整:いくらダイエット用でも、過剰に与えれば太る原因になります。1日の摂取カロリーに含めて管理しましょう。
- 無添加のものを選ぶ:添加物が少なく自然素材を使ったおやつは、シニア犬の健康にも良い影響を与えます。
ダイエットフードやおやつは効果的な手段の一つですが、過信せず食事全体のバランスを意識して与えることが大切です。
部分的にダイエットは可能?
シニア犬のダイエットにおいて、首回りや腰回りなどの特定の部位だけを引き締めることは難しいですが、全体的な体脂肪を減らすことで首や腰のラインをスリムにすることができます。
- 首回りの脂肪:肥満になると、首回りに脂肪がつきやすくなります。首回りの引き締めには、食事管理と適度な運動が効果的です。
- 腰回りのくびれ:腰回りのくびれが見えるようになるには、全体的な体重管理が重要です。犬の体を上から見たときに、腰のくびれが少しでも見える状態が理想です。
効果的な方法
- マッサージ:脂肪のつきやすい部分を優しくマッサージすることで、血流を促進し脂肪燃焼をサポートします。
- ターゲット運動:おもちゃを使って遊ぶことで、特定の部位の筋肉を使う運動を取り入れることも有効です。
- 日常的な散歩:短時間の散歩を増やすことで、体全体の脂肪を燃焼し、首回りや腰回りの引き締めに効果があります。
ただし部分的な減量は難しいため、無理のない全体的なダイエットを意識することが大切です。
シニア犬のダイエットはかさ増しが効果的?シニア犬のダイエットを成功させよう

シニア犬のダイエットには、日々の食事に手軽に取り入れられる「かさ増し」が非常に効果的です。低カロリーの野菜や水分を活用することで、愛犬が満腹感を得ながら無理なく体重管理を行えます。またダイエットフードやおやつも適切に活用しつつ、食事全体のバランスを意識することが重要です。散歩や運動を併用することで健康的に体重を落とし、愛犬が長く元気でいられるようサポートしていきましょう。